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ADHDの薬を考察: コンサータ とは?効果と副作用は?

公開日
更新日

 
執筆:佐藤 孝弘 (医薬品開発、薬剤師)
 
 
メチルフェニデート徐放剤(商品名: コンサータ )は脳内のトランスポーターに結合することでシナプス間隙の神経伝達物質(ドパミンやノルアドレナリン)の濃度を増加させると考えられ、脳内ドパミン量が減少していると推測されるADHD患者において治療効果を発揮させると考えられています。ここでは、ADHDの薬の一つである コンサータについて説明します。
 
 

~コンサータ~成分、効果

脳の中にはドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンという神経伝達物質があります。これらの神経伝達物質は、神経細胞(シナプス)から放出されて別の神経細胞の受容体に結びついて情報を伝達し、その後、トランスポーター(膜輸送体)システムによって再び元の神経細胞に取り込まれ、再利用されるというしくみになっています。
ところが、ADHDの場合は、脳の前頭前野のトランスポーターが過剰に働いてしまうため、神経細胞からシナプス間隙に放出されたドパミンが、次の受容体に結びつく前に再取り込みされてしまい、別の神経細胞に情報が伝達されなくなってしまいます。
つまり、前頭前野のシナプス間隙のドパミン量が減少することによってADHDの特性である不注意や多動・衝動性が現われると考えられています。
 
 

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~コンサータ~トランスポーターへの親和性

メチルフェニデートのドパミントランスポーターへの親和性は、ノルアドレナリントランスポーターへの親和性の10~数十倍高いと考えられており、ドパミンに比べてノルアドレナリンへの再取り込み阻害作用は中程度以下といえます。
このメチルフェニデートのドパミンやノルアドレナリン濃度の上昇作用が前頭葉を中心に行われることで、ADHD症状を改善すると考えられてきました。それを証明するいくつかの研究が発表されています。
 
 

~コンサータ~用法・用量

18 mg、27 mg、36 mgの3種類の錠剤が発売されており、初回投与量は18mg/日/分1を(朝)経口投与します。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9 mgまたは18 mgの増量を行いますが、症状により増減します。ただし18歳未満では1日用量54 mgを超えないこととされています。
 
 

~コンサータ~ADHD薬物療法アルゴリズム

日本におけるADHD薬物療法アルゴリズムではメチルフェニデート徐放剤とアトモキセチンのいずれかを第一選択薬として投与し、もし十分な効果が得られない場合、あるいは副作用により使用が難しい場合は、メチルフェニデート徐放剤とアトモキセチンのうち先に選択しなかった薬剤に切り替えて投与を継続するように提唱しています。
アトモキセチンは効果の立ち上がりが緩やかですが、一方、メチルフェニデート徐放剤は効果発現が速やかで、朝1回の服用ですみます。カナダのADHD治療ガイドラインでは攻撃性が併存する場合は第一選択薬としてメチルフェニデート徐放剤が推奨されています。
 
 

~ コンサータ ~副作用

一般的に見られる副作用は食欲低下、睡眠障害、チック、腹痛、悪心などです。副作用対策として以下があります。
・食欲低下:特に昼食を食べなくなることが報告されていますので、朝食、夕食を多くすることや、おやつなども利用して1日の食事量や必要な栄養素が減らないようにします。またモサプリドクエン酸塩(ガスモチン)の併用を行うこともあります。食欲不振が継続する場合は減薬や薬を変えるなどの対応が必要です。
・睡眠障害:服薬する時間を朝なるべく早い時間にします。しかし副作用による不利益が大きいようなら中止を考慮します。
 
 

~コンサータ~注意点

徐放剤であり、およそ12時間効果を持続するようにつくられているため、噛んだり、割ったりして服薬しないようにしましょう。また睡眠障害の副作用が現れるので、午後の服薬は避けます。甲状腺機能亢進症、不整頻拍、狭心症、運動性チック、トゥレット症候群、うつ病(重症)の診断を受けている患者への投与は禁忌です。
慎重投与には「てんかんまたはその既往歴のある患者」とありますので注意が必要です。また心臓疾患、脳血管障害の既往歴などのほかに、薬物依存またはアルコール中毒の既往歴のある患者も慎重投与です。
わが国ではメチルフェニデート徐放剤の投与はADHDの診断や治療に精通し、薬物依存を含むメチルフェニデート徐放剤のリスクなどについても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるものとされていますので、すべての医師や医療機関で処方されるわけでなく、また本剤を扱う薬局も限定されています。詳細は「コンサータ錠適正流通管理委員会」のホームページに掲載されています。
 
 

~コンサータ~相互作用

併用禁忌薬はMAO阻害薬のセレギリンですが、わが国では現在パーキンソン病治療薬としてしか用いられておらず、ADHDとの併存は多くはありませんが、服用薬の確認は必要です。
併用注意薬としていくつかの薬剤があがっていますが、注意すべきは三還系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)で、これらの作用を増強することがあるとされます。これらはADHDの併存障害としてのうつ病や不安障害に対して用いられることが多く、すでに他院で処方されている場合も多いので注意が必要です。
 
 

~コンサータ~まとめ

メチルフェニデート徐放剤は効果発現が速く、朝1回の服用で十分です。
徐放剤であるため、噛んだり、割ったりして服薬しないようにしましょう。また、睡眠障害の副作用防止のため、午後の服薬は避けましょう。
 
 
<執筆者プロフィール>
佐藤 孝弘(さとう たかひろ)
ヘルスケア関連企業にて、10年以上、研究開発業務に従事しています。
医学・薬学・健康・美容に関するライティングを中心に活動。TOEIC 910点
 
 

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また、この中で、ADHDの薬についても説明しています。
 
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